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理事長の挨拶

<これまで>

 

 2018年、沖縄本島北部やんばるの森は国立公園に指定され、2021年には、世界自然遺産に登録されました。私がやんばるの保全活動を始めてから36年目のことでした。

初めてやんばるの森を訪れた1985年、開発が最優先され、森林伐採やダム建設、林道建設などの大規模開発が進み、森は、茶色の山肌をむき出しにした無残な姿に変わり果てていました。

当時、東京の環境保護団体職員だった私は、やんばるの森は生きものの宝庫で、地球上でここだけしかいない生物が生息している、かけがえのない地域にもかかわらず、その価値に気づいているのは限られた専門家や研究者だけであることに心を痛めていました。

沖縄県や国頭村森林組合はもちろんの事、霞が関の林野庁、環境省、国会議員などにも、たびたび保護を訴え続けました。そして、地元の人と一緒にやんばるを守る活動をしようと大宜味村に移住、多くの人にやんばるの森のすばらしさを伝えるためのシンポジウム、ワークショプ、観察会、ゴミ拾いなどを継続し、仲間を増やす活動にも力を尽くして来ました。

中でも、地域小学校での自然観察学習や環境教育は、当初からずっと継続してきたことです。次世代の子供たちが、身の回りにある自然の豊かさを知り好きになることが、やんばるの森を守ることにつながるに違いないと考えたからです。

今年も、地元大宜味村、国頭村の小学生と自然の中で生きものとのふれあいを楽しんでいます。

 

<これから>

 

 これまでの長年の活動は、やんばるの森の環境破壊を止めることが最優先でした。長期間、あきらめずに継続できたのは、やんばるの森の自然の価値について、ゆるぎない確信を持ち続けられたからでした。そして様々な人々の努力の結果が、世界自然遺産の誕生に結びついたと、心から喜んでいます。

 これからは、守られたこの豊かなやんばるの森を次世代にしっかりとバトンタッチするために、子どもたちと一緒に、やんばるの自然にふれる機会を多くつくることがさらに重要になると考えています。バトンを受け取った子どもたちが、価値や魅力を地域の人に広げ、やんばるの自然を大切にすることが、必ずや地域の大きな飛躍につながることを確信してのことです。

 一方で、海外を含む多くの来訪者に、多様な生物をはぐくむやんばるの自然を紹介し、この小さな島が地球上でかけがえのない地域であることを伝えるのも、今後「やんばる森のトラスト」のめざすところです。

 これらの目的のため、組織や体制を一新し、活動を次世代に次ぐ作業が、当面の大きなチャレンジです。皆様のご協力を得て一歩ずつ進めたいと考えています。

                        

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やんばる森のトラスト                        会 長 市 田 豊 子

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